小西六、大和光機工業の写真機

 

目次:

  • コニカ S III(小西六)
  • Pearl II(小西六)
  • Pearl III(小西六)
  • Pearl IV(小西六)
  • PaX 35(PaX Original、PaX I 型)(大和光機)
  • PaX M2(大和光機)
  • PaX M4 (MAGNON 35)(大和光機)

コニカ S III(画面サイズ 24×36mm)
私にとって2台目の写真機。1台目はフジカ・ハーフ だったと思うが買ってから1年足らずのうちに紛失してしまった。コニカ S IIIを買ったのは1965年頃(大学2年生の頃)だったと思う。この頃はまだモノクロが主流だったが、私も徐々にカラーに移行していった。このカメラは、学生時代に何度も質屋に入って私を経済的に援助してくれた。
1980年頃まで、約15年間程使った。初めてドイツに行ったとき(1980年7月~9月)もこのカメラを持って行った。今でも健在だが、完全に出番を失ってしまった。シャッターに若干ねばりが出てきたし、絞りもぎこちなくなったが、中を開ける方法がわからず、そのままになっている。この時代のカメラはそろそろ機構が複雑になってきているので、私の手に負えない。


Pearl II(画面サイズ 4.5×6cm)
発売は1952年。ヘリコイド式全群移動による焦点調節機能を持った蛇腹式セミ判(画面サイズ 6×4.5cm)コンパクトカメラ。レンズはHexar。初め、ちっともいい写真がとれず、がっかりしたが、後群レンズのシャッター側がよごれていたのが原因だった。入念に点検と手入れをしたつもりだったが、見落としがあった。完動品を通信販売(京都)で購入した(2000 年6月)。

Pearl シリーズのカメラはなかなか手に入らないので、思い切って買ったが、この後で Pearl III、Pearl IV と立て続けに手に入るとは思いもよらなかった。

フィルムサイズが大きければそれだけいい写真が撮れる。しかし、現在普通に売られている中判カメラは大き過ぎてとても持ち運ぶ気にはなれない。蛇腹式折畳みカメラはフィルムは大きくても、本体は畳めばコンパクトになる。これが魅力だ。

2000年9月に Pearl II と Pearl III でウイーンの街を撮った。みごとな写真ができた。


Pearl III(画面サイズ 4.5×6cm)
これぞ理想的な夢のカメラ。Pearl II を改良したもので、フイルム巻き上げが自動ストップする。もはや赤窓を見る必要はない。いや、そもそも赤窓などはもはや存在しない。委託品無保証のものを安く買った(2000 年8月)。

シャッターは Seikosha MXL だが、シャッターを切るときに少し抵抗を感じる。従って手ぶれをおこす可能性があった。そこで、例によって荒っぽい手段(なんと、ときにはペンチなどを使って)で調節した。ケースはありあわせの物を加工した。

Pearl III が発売されたのは1956年のはずだが、そのときのシャッターはSeikosha MX のはずだ。Seikosha MXL が付いていることから判断するならば、私の Pearl III は1957年頃のものかもしれない。これは私の宝物だ。これを手に入れたとき、「買うとすれば、後は Pearl IV しかないなあ」と思った。しかし、Pearl IV は高くて手が出ない。

私の Pearl III は実用的には何ら問題ない。でも気に入らない箇所が2箇所あった(それがどこだったかはもう忘れてしまった)。後に 蛇腹が全く駄目になっている Pearl III のジャンク品を入手したので、これから部品を取って、私の Pearl III を完全なものにした。蛇腹も新品と交換してもらった。真新しい蛇腹!嬉しい!これでファインダーがもう少し大きくて、シャッター関連がもう少し頑丈であれば、中判写真機としては言うことがないのだが。何しろコンパクトなので、非常に気に入っている。中判なのに横幅は Contina II と変わらない。


Pearl IV(画面サイズ 4.5×6cm)
1958年発売の高級機。ついに手に入れた。セミ判(画面サイズ4.5×6cm)蛇腹写真機としては恐らくこれ以上のものはないだろう。私の夢を完璧に満たしてくれるものだ。

やはり委託品無保証の物を安く買った(2001年3月)。店にあるときはレンズボードががたついていて、シャッターがうまく切れなかった。しかし、レンズボードを内側から締めれば不具合は一切なくなることがわかったので、即座に買った。このような名機は今後いつ手に入るかわからないからだ。もっとも、20万円ぐらいの出費をいとわないならば話は別だが...。値段は別としても、とにかくめったに見つからない代物だ。

と思っていたら、あるときに15万円代のものが見つかった。その後も Pearl I、Pearl II、Pearl III、Pearl IV などに何度か出合った。めったに見つからなかった物が急にこう立て続けに見つかるとなると、 Pearl シリーズに関しては何か因縁みたいなものを感じる。値段もだんだん下がってきているような気がする。今では10万円ちょっとで程度のいいPearl IV が買えるようになった。3万円台の Pearl III まで見つかった。ちょっとくやしい感じもする。

買ったときの店員との会話:

店員「こういう高価なものを迷わずポンと買える人は珍しい」
私 「いや、この写真機はめったに見つからない。それに完動品より安い。本来、こんなお金で手に入るような代物ではない」
店員「それはわかっている。しかし、その場で即座に買う人はそんなにいない」
私の心境「絶対に直してみせる。夢をみすみす逃すことは絶対にしたくない」

 

Pearl III の後継機なのだが、もはや別の製品と言ってもいいだろう。ボディの材質もデザインも、これまでの Pearl シリーズとは全く違う。最高のスペックを有する写真機だ。

Pearl III と比べた場合、デザインや操作性に関してはどちらかと言えば Pearl III の方が好きだ。Pearl III のコンパクトさも気に入っている。ただし、Pearl IV の方が圧倒的に優れている点がある。それはファインダーだ。Pearl IV は何と、採光式ブライトフレームを備えているのである。これは実に見やすい。

これでもって、一連の Pearl シリーズの生産は終わりを告げる。これが手に入った以上、もはや買うものがない(と言いながら、その後もずいぶん沢山買っちゃったけど)。「夢」に「到達」した一方で、「到達」という「夢」を失ってしまった。夢というものは実現するまでが花なのかもしれない。

ケースはやはり、ありあわせの物を加工して使っていたが、外見を Pearl III のコンパクトさとスマートさに近づけるために、ケースの自作も試みた。これでボディとケースの間に一体感が感じられるようになった。本体がケースから浮き上がって分離しているように見えるようでは美しさも半減する。昔の中判カメラの本体には何故か、ストラップを取り付ける金具が付いていない。だから、持ち運ぶためにはどうしてもケースが必要だ。当時のカメラには革製の立派なケースが付属している。しかし、ケースが立派すぎると全体が大きく感じられてスマートさがなくなる。完全に満足できる物にするには自作するしかない。外見のデザインにしても然り。ただ、全てブラック仕立てにすると、それを写真に撮るのが難儀だ。


PaX 35(PaX Original、PaX I 型)(画面サイズ 24×36mm
東京、秋葉原のカメラ屋でPaX 35(あるいは PaX Original、PaX I 型) という写真機を発見(2005年5月)。このカメラを何と呼ぶべきかわからない。写真機本体上部にはただ PaX とだけ書かれている。とにかく、R135フィルムのフルサイズ用カメラとしては今まで見たことがない程小さい。しかも、距離合わせは全群直進式ヘリコイドを使い、連動式距離計まで付いている。さらに、このレンジ・ファインダーの基線長は40mm もあり、かなり正確だ。近距離側からも遠距離側からもぴたりと決まる。シャッターは YKK のレンズ・シャッター(速度は B、1/10、1/25、1/50、1/100、1/300)。レンズは Luminor Anastigmat 1:3.5、f=45mm。セルフタ イマーがない点を除けば、手動写真機としてはスペックに不足はない。

購入してからわかった限りでは、メーカーは大和光機という会社で、製造は1952年頃らしい。外観は Leica II f や III シリーズを小型化したような感じ。この後、 PaX M2、M3、M4 と続いたようだ。 PaX シリーズに限らず、この頃のカメラには外観が Leica に似ているものが多い。

どれくらい小さいかと言うと、横幅が 109mm、高さは下部の出っ張り部分を含めても約65mm だ。高さに関して言うならば Rollei 35 LED より低い。(写真参照)
35mm フィルムを使う以上、これ以上低くするのは物理的に不可能だ。横幅は物理的にはRollei 35 程度までは縮小できるはずだが、高さを変えないで幅を狭くすれば機能や操作性が犠牲になる可能性がある。私の頭で考えられるのは、フィルム巻き上げノブを巻き上げレバーに変えて少し(向かって)右側にずらし、シャッターボタンをボディの前面に出すこと、あるいは(Contina II や Contessa 35 のように)巻き上げノブと巻き戻しノブをうすくして底面に移動させ、さらにファインダー部分を(向かって)右側に少しずらすことぐらいだ。後者の場合はファインダー・ユニットの左右を反転させる方がいいかもしれない。裏ぶたの構造も開閉式に変えなければなるまい。すると結局のところ高さが増すことになってしまうのかな?ああ、考えるだけでも楽しい。

 

以上のように、この写真機は手動カメラとしてはスペック的に問題ないが、操作性は決してよくない。特にビューファインダーは、視度や倍率の問題があるだけでなく、視野率が極端に低い。つまり、ファインダーからは写る範囲の一部分しか見ることができない。店には PaX 35 と PaX M4 が並べられてあった。操作性を考えるならば M4 の方がいいに決まっているが、古い方の PaX 35 を買った。メカそのものや操作そのものが好きな私の場合はこちらの方に魅力を感じる。写真は実に良く写る。ただ、残念なことにどこかで光もれがする。その解決に悪戦苦闘しているところだ。

何度も何度も実験を繰り返し、やっと光もれが解決した。実にいい写真が撮れるようになって満足している。ついでに外付けファインダーを付けて被写体が見やすくなるようにした。レンジファインダーとビューファインダーが元々別になっているのだから、ビューファインダーが外付けでも何ら問題ない。ビューファインダーとレンジファインダーの両方が倍率100%(等倍)になり、視野率も上がり、そしてさらには視度の問題も解決して、理想的な写真機になった。今では両目を開けた状態で写真が撮れる。外観もかなり変わった。名づけて、PaX 35 K-black。

このレンズの描写はコントラストが強い。明るい部分はパッと明るく、暗い部分は真っ暗に近い、そういう画像ができる。実は、私はこういう写真が好きなのだ。


PaX M2(画面サイズ 24×36mm)
PaX 35 があまりにも気に入ったので、コンバージョン・レンズの使用が可能な後継機種も欲しくなった。M3 や M4 のデザインと大きさ(高さ)はあまり好きになれないので、PaX 35 と同じくらいコンパクトな M2 を入手した(2005年5月。横浜のカメラ屋から)。予定以上の出費だったが、清掃・点検済みのきれいな M2 が送られてきたときは感激した。本当に新品のように見える。PaX 35 より格段に進歩していて、セルフ・コッキング、被写界深度目盛、ファインダー内の二重像位置調節窓、フィルム巻き上げ確認表示が加わるなど、ほぼ完成の域に達している。PaX シリーズの唯一の欠点はファインダーが見にくいことだ。この M2 は特に見にくい。広角用ビューファインダー、望遠用ビューファインダーも含め、どうしてこんなにそれぞれの視度がまちまちなのか理解できない。広角用ビューファインダーの場合はメガネをはずせば使えるが、M2 自体のファインダーはメガネをかけてもはずしても駄目だ。適当な視度調節レンズが見つからず、老眼鏡のレンズを利用して視度調節を試みた。私の持って入る固体は絞り値を大きくしても画像の左端が流れる。この解決方法はいまだに見つからない。PaX 35 が直ったのだからまあいいや!


PaX M4 (MAGNON 35)(画面サイズ 24×36mm)
私が所有するものは PaX M4 の輸出用で、MAGNON 35 という名称になっている。M2 と異なる点は、ファインダーが大きくなったために本体の高さが増して、少し重くなったこと(510g)、巻き上げがレバー式になったこと、巻き戻しがクランク式になったこと、レンズが明るくなったこと(1:2.8)、ファインダーにブライト・フレームが使われていることなどである。外観はごく普通のカメラのようになり、PaX 35 や PaX M2 のような魅力はなくなった。所有する写真機は残念ながら、現在は故障中。
PaX M2 と M4 の間にはもちろん M3 がある。